■組織には、壁がある
組織が生まれ成長するにつれて組織は形態を換える必要があります。 その形態を換えることができないと、壁にぶつかり、その規模を超えれない時期を経験することになります。 社員が増えては減るという状態を繰り返し、社員数が昇降状態になります。
その規模のラインを私は『組織の壁』と呼んでいます。 組織の壁とは、組織への変革をせまられる、集団の限界を意味します。
■ある企業のケース
IT系企業のA社長は、行動力と判断力で創業時から事業を順調に成長させてきました。
創業当初はひとりでしたが、売上げの推移とともに、従業員も、身内の3人からはじめ、徐々に数を増やし現在25名ほどになりました。
20名を超えるころから、A社長は、自社の組織に対し、漠然とですが「これ以上はいかない」と感じていました。 そして、25名を超えたころ、その予感はあたりました。
売上げは、今後も伸びるという自信はあるものの、新たに人を雇っても、同じ人数が辞めていくという状態になりました。
ここ数年の従業員規模は、横ばいという状態です。現在は、採用と教育という以前は意識しなかった業務に多くの時間を取られる毎日です。
A社長は次のように振り返っています。
7名ほどまでは、社員一人ひとりのこともよく理解でき一体感がありました。しかし、10人を超えたぐらいから、それ以降に採用した社員の仕事の状態やプライベートのことを把握することが出来ないようになってきました。
忙しさの中、社員との面談や飲み会もなくなり、社長と社員、社員間にも距離感が出始めます。 それでも、事業は成長し、顧客からの注文に対応するためには人を増やす必要がありました。人がいれば、売り上げはあがるとも考えていました。しかし、・・・。
■社長の組織化の能力
組織の壁となる、従業員規模には、10名〜30名というように開きがあります。
この数字の開きの一因としては、「社長の能力」と「事業のシンプルさ」が上げられます。 |
「社長の能力」には、とりわけ、弁別性(論理性)が大きく影響します。弁別性により物事をロジック組み立てる社長のもとでは、壁となる規模は、大きくなる傾向があります。
この弁別性という能力により、方針やルールの文章化をすすめ、役割と責任を明確にし、組織を統率しようとします。また、社長が組織化するという意識も非常に重要となります。
■事業のシンプルさ
事業がシンプルであるほど、組織の壁の規模は大きくなります。シンプルな事業とは、飲食店や製造業が代表例となります。 その特徴として、働く人間にとって仕事がある程度想像できることです。 これにより、組織での仕事がなんとなく標準化(判断基準)されることになります。 逆にシンプルでない事業としては、企画や製作、デザインなどのクリエイティブな事業など、なんとなくの標準化が進みにくい事業です。これは、ある個人の能力に頼った事業ともいえます。組織の壁は、前者のシンプルでなんとなく標準化が進む事業では、70名ぐらいまで出会わないもあります。それに対し、なんとなく標準化が進まない事業では、5名という規模でも組織の壁に見舞われることもあります。
■集団と組織の違い
この組織の壁を越えるためには、まずは、「社長が組織化をする」と決めること、そして、意識すること。当たり前ですが大切なことです。
その上での、集団と組織の違いを理解することからはじまります。
組織 = 集団+目的+ルール
集団に、目的とルールを与えると組織になります。すなわち、目的とルールが理解されていない組織など組織とはいえません。
目的とは、理念、顧客の定義、事業の定義です。 ルールとは、価値観であり、標準化、言葉の定義でもあります。それは、事業をシンプルにすることと、標準化を進めることに繋がることになります。
組織の壁を超えられる組織と超えられない組織すなわち組織と集団の違いは明確です。組織化にはある程度の法則性があるといえます。
〔ワイズサービス 代表 矢田 祐二〕 |