矢田レポート

<<前号 バックナンバー 次号>>

No.019 中小企業ほどマニュアルが必要である '06'09'11

中小企業におけるマニュアルの必要性は、「人材の教育」と「企業力の永続」にあります。今後、その必要性はさらに高まります。
■マニュアル進化の背景

マニュアル先進国アメリカでは、マニュアルなしでは企業が成り立たたないといえます。その大きな理由は、(1)人材の多様性 と (2)転職率の高さ にあります。
(1)人材の多様性
さまざまな言語や文化を持った多民族国家、すなわち、多様性の社会では、日本のようなある一定の常識や前例の概念は、成立しにくいといえます。
例えば、飲食店の接客という比較的単純な内容でも、従業員個々の仕事に対する考え方ややり方は、多種多様なものとなります。
「清潔に」といわれても、手を洗うことや、害虫や悪臭の存在が、異なる文化や価値観をもつ人材間で、基準になることはありません。
そのような状況では、やはり作業の内容や言葉の意味をひとつひとつ明確化したマニュアルが必要となります。それにより、初めて一定のサービスや品質、そして、『常識』の異なる人材同士の共同作業が可能となるのです。
(2)転職率の高さ 
アメリカでは、だれもが新しいチャレンジを求め、すぐに転職をするのが普通となっています。そのため、企業は、絶えずあるリスクを抱えることになります。それは、優れた技術やノウハウという企業の財産、すなわち企業力が、社員の転職とともに失われてしまうということです。
そのため、企業では、人材の転職に伴う企業力の消滅と、次に採用した人材への早期の引継ぎのためにマニュアル化が必要とされました。
これは言い換えれば、ある一部の社員の能力に頼らない企業の防衛システムだともいえます。

■日本でも強まる傾向

これら2点の特徴は、近年の日本でも急速に強まっています。

 日本人の持つある一定の道徳観や意識は、良くも悪くも多様化しているといえます。
 また、転職率は、終身雇用の崩壊とその意識の変化により、さらに高まる傾向にあります。それは、日本の企業においても、マニュアル化を進める必要性の高まりを意味します。

■中小企業ほどマニュアル化は不可欠

これら (1)人材の多様性 と (2)転職率の高さ は、とりわけ中小企業に強くみられる傾向といえます。
中小企業では、人材の確保は、中途採用を中心とし、人材の入れ替わりも高い傾向にあります。
中途採用人材は、家庭環境から学歴、そして過去の職種や職場で築いた『常識』をもち、多様性に富んでいるといえます。
例えば、「賞与」「代休」という規則や「顧客」「サービス」「営業」の理念に関わる言葉の個々の『常識』は、まず一致することはありません。
また、中小企業では、人材の入れ替わりが激しいといえます。 社員20人の会社であれば、年に一人二人の退職者数は稀ではないはずです。 その人材にかかった採用、教育そして時間は大きな損失です。それどころか、その人材が企業の要である仕事を担っていたということもあり得る話です。
大企業と比較すると、これらの面でのリスクの高さは、大卒採用と終身雇用の維持されたそれとは、相対的に高いといえます。

■導入マニュアルと業務マニュアルを

このような環境のなか、「人材の教育」と「企業力の永続」のために、中小企業は、マニュアル化を進める必要があります。
特に、人材採用時に自社の『常識』を伝える「導入マニュアル」と、本業の生命線である技術や知識をまとめた「業務マニュアル」の作成は避けては通れない道です。
見て盗め、体で覚えろという、日本の風土や日本人気質に根ざした経営を脱する転換期が来ております。

〔ワイズサービス 代表 矢田 祐二〕

ご意見お待ちしています
<<前号 バックナンバー 次号>>


ホームへ戻る

  Copyright.2004-2008. ワイズサービス. All Rights Reserved.