「優秀な人材」が採用できないと嘆く経営者は多い。それに対し、みる社員すべてが「優秀な人材」にみえる企業がある。その理由を理解するためには、「優秀な人」がどんなところを観て会社を選ぶのかを考える必要がある。
「優秀な人」は、会社を選ぶ際に、その会社が『信頼できるかどうか』を重視する。取引先を選ぶように、パートナーとしての価値がある会社なのか、自分の時間と能力を使うだけのものがあるのかを観ている。
その信頼は、「目的への信頼」と「能力への信頼」のふたつの信頼から成り立つ。
「目的への信頼」とは、その会社がやろうとしていることが社会から歓迎され、その仕事を自分も家族も誇りに思え、そして、市場性や将来に合致しているかどうかである。その目的が明確であることも求められる。
「能力への信頼」とは、その目的を実行するための要素(根拠)のことである。それは、風土や組織システム、社員の有能性や経営者の揺ぎ無い信念である。
この二つが満たされることが、信頼を置ける会社の条件となる。
優秀な人は、決して仕事の条件や内容だけでは会社を決めることはなく、より強く「やりがい」や「生きがい」をもとめる傾向がある。
ただし、給与や休日などの条件が必要ないわけでは決してない。「優秀な人」ほど、明確に線引きし約束を大切にする。会社の条件を提示する(約束を守る)という姿勢に、その会社の「能力」を読み取ろうとするのである。
これが「優秀な人材」の会社の見方である。
会社側としては、「優秀な人材」が求める条件を満たす必要がある。これは、正直大変なことであると思う。 |
この信頼できる条件とは、組織のなかでのリーダーに対して求められこととまったく同じである。また、経営者が理想とする企業像なのかもしれない。
従業員満足なくして、顧客満足なしといわれるように、いまの社員に信頼されていない会社は、「優秀な人」から信頼されることはない。「優秀な人」がやめていく会社に、「優秀な人」は入らない。採用のテクニックで、優秀な人材を採用することは出来ても、すぐやめてしまう。
ひとつの結論として「優秀な人」を採用する方法として、会社はいまの社員との信頼関係を築くことがあげられる。
会社をよくするために「優秀な人材」を採るという意見も当然ある。ひとりの人材により会社が著しくよくなるケースや、新しい人を入れることによる組織の活性化作用は間違いなくある。
「卵が先か、鶏が先か」、それでも、少なくとも会社はよくなっていく必要があるし、よくしていく必要があり、その責任は、経営者には間違いなく存在している。
「優秀な人材」に多くのものを求める経営者がいる。そして、売上の倍増や部下をうまく使うなど、いま会社や経営者が出来ていない無理難題を求めることも多い。
しかし、そんな経営者にかぎり、ビジョンを掲げ、組織を鼓舞し、推進するという経営者責任をはたしていることは少ないようである。
採用は、自社を見直すよいきっかけになる。
採用を機会に、会社が社員に求める「よい人材」の定義を考えるのと一緒に、社員が求める「よい会社」の定義を考えるのもよいだろう。
〔ワイズサービス 代表 矢田 祐二〕
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